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「暗記」が苦手な子どもたち

だんだんと「暗記」が苦手に?

コアのカリキュラムには英文暗記は欠かせません。

小学生から高校生まで、語順訳テキストの暗記を音読練習の最終目標としてきました。

 今でも小学生は、ネイティブスピードで読まれる8~10分程度の物語を最初から最後まで暗記して劇や紙芝居で発表しています。

 

 暗記はあくまでも最終到達目標であり、それまでに英文の音読練習(すらすら読み、スラッシュリピート、シャドーイングなど)や確認テストが入ります。

音読練習を重ねるうちに自然と英文覚えるこれがごく当たり前のことでした。

 

ところがこの4,5年で当たり前のことが当たり前でなくなってきました。

 ・暗記が苦手、したくない

 ・暗記の負担を減らす要望

 ・暗記ができない、時間がかかる

そういう状況が増えてきました。

 

個別指導ですので、何かを強制するということはしません。生徒や保護者の声に耳を傾け、目標を達成するために柔軟に対応できるのが個別指導の強みです。

 

しかし現実として、高校生の1週間の単語の範囲は

 ・単語200個、熟語100個

から

 ・単語100個 または 単語50個熟語50個

と、3分の1に減りました。

 

科目数や習い事の数、学校から出される課題の量が増えていることが原因の一部かもしれません。

一方で、部活の時間や日数は以前よりだいぶ少なくなったようにも思います。

 

英語に割ける時間の問題と同時に、「長期記憶ができなくなっている」というのも明らかな理由として挙げられます。

友達の電話番号をいくつも覚えていた時代とは違い、大抵のことはネットを調べれば解決しますし、予定も入力さえ忘れなければスケジュールアプリが教えてくれます。「これからの勉強は知識を蓄えるのではなく、道具をいかに使うかだ」という学校の教育方針もいくらか聞こえてきます。AIが人間の知能を超えるのは間もなくだとも言われています。技術の発展は避けられないこととは言え、このような考え方が正しいのかどうかは慎重に考えるべきことだと個人的には思います。

 

英語に話を戻します。英語を自分で使えるようになるためには、やはり単語やフレーズの溜まりが必要です。単語や文章を暗記することは言語を学ぶ上では避けて通れません。しかし、毎週の授業で単語を覚えても、次の週には忘れている。学校でも他の塾でもやっているはずのなのに、過去の文法事項を完全に忘れている。そういったことが本当に増えてきています。

 

じゃあどうしよう?

「最近の子は覚えられないね…」で終わってしまったら「私は先生です」とは言えません。

この事実を受け入れるまでには時間がかかりましたが、今は「覚えられなくてもそれがふつう」と捉えています。

ごくごく基本のことですが、

 

「反復学習」を以前より意識的にやらせる

 

これに尽きると思います。

自宅学習で反復する時間がないのであれば、その場だけでも同じフレーズを何度も言わせる。

暗記までいかなくても焦らない。

「覚えられないならとりあえず10回言おう」

できなくても焦らない。

「できないならあと5回同じ問題解こう」

 

学校の進度や目標達成に焦るのは講師も同じです。

「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」

「あれもできていない、これもできていない」

でも時間が足りない!!

 

しかしすべてを網羅しても何も残らないのなら0と同じです。

それならば10のうち1でも残して、積み重ねていけるように、指導法を変えていくしかないなと考えています。

 

もちろんすべての生徒に当てはまるわけではありません。

英文をその場で暗記して、日本語訳まで見なくても言えるという生徒もいます。

そういう生徒には「量ではなく質」というように指導法を工夫しています。